距離感のイメージ
以前、地方の高校生と話す機会があった。その人は頭が良いのに、なぜか未来に対して明るい展望がなく現実的な努力をする気もあまりない様子で、ちょっと不思議に思った。
🙃なんでそんな感じなの?せっかく頭いいのに!
と聞いてみると、彼女はこんな風に答えた。
👩いやー、だってさ、東京とか大阪みたいな大都市では、小学生の頃からガッツリ勉強して、ハリポタみたいなカッコいい制服着て、授業で日本舞踊とかやって、夏休みには海外旅行行ってるような人たちっているでしょ? もうその時点で、めっちゃ距離が離れてるよね。最初から住んでる世界が違うし、頑張ったって向こうが勝者って決まってる気がする。別にひがみとかじゃないよ、ルートが違うって感じ。だから、こっちはこっちでできることをやっていくよー
その時は特に気の利いた答えを思いつかなかった。
実際のところ
仕事の出来不出来と「子供時代からのエリートルート」を歩んだかどうかは、必ずしも直結しないと思う。特に日本では、その差はそこまで壊滅的なものじゃない。とはいえ、子供時代からのエリートルートにいる人たちにアドバンテージがあるのは事実だ。
学習機会(ともしかしたら人脈)以外の大きな違いは、「エリートルートから外れるとヤバい」っていう危機感を持っているかどうかだと思う。この危機感こそが、エリートルートの強みであり、時に弱みでもある。
例えばこんな人に会った。
その人は東京生まれで某有名大学の附属校出身、ゴルフが得意でコンペでは度々優勝している。プレゼンは滑らかで、人当たりもいい。でも仕事は正直、ありえないくらいできない。
例えば、契約書を交わす前に金銭の授受がある契約内容を履行してしまったり、重大なミスを犯す。そういう時には
👨やるって言ったのに、やらないことになってるんですか?
と取り乱しながら逆ギレされることもしばしば。
そんな彼に逆ギレされつつ、こっちは
😨この人、このまま壊れちゃうんじゃないか
と怖くなる。そして、泣く泣く飲み込んでしまう。(実際、彼は定期的に心が折れて休んでしまう。)
それでも、ゴルフコンペで役員(同じ大学出身の人が多い)に気に入られ、喋りが滑らかなおかげで、どんどん昇進していく。
これって正しいのかなと正直思う。
「人脈」があり「見栄え」がいいのは認めるけど、本人には「ギリギリな感じ」がある。
エリートルートの心理
エリートルートを歩む人たちの心理には、独特なプレッシャーがある。彼らは「コースから外れたら終わり」という強い危機感に駆られていることが多い。この危機感は、努力を続ける原動力になる一方で、過度なストレスや「完璧でなければ」という重圧にもつながる。
さっきの男性のように、人脈や外見、立ち振る舞いでカバーできる場合もあるが、ミスや失敗が積み重なると、精神的なもろさも露呈しやすい。エリートルートの強みは「環境」と「機会」だが、弱みは「失敗する自分をうまく受容できない自分と周囲」かもしれない。
今ならこう伝える
もし今、あの高校生と話すなら、こう言うかな。
🙃学歴や育ちを重視する企業ばかりじゃないよ。むしろ、就職した後に課題を見つけて、コツコツ勉強や成長を続けられる人の方が、ずっと価値が高いよ。実力主義ではなく上がっていく人も少なからずいるけどそういう人だけでは会社はうまくまわらないから、需要は変わらないはず。
「子供時代からのエリートルート」も、それ以外のルートも、どちらも閉塞感を持っている。その構造を打ち壊すのはかなり大変だと思うけど、今はその前提を知った上でできることをやっていくしかないと思う。
補足
環境が何よりの強みの「子供時代からのエリートルート」の例を出したけど、そのルートにいる人たちの中にも、環境のアドバンテージがなくても成功しそうな「出来る人」ももちろんたくさんいる。